ダヴィデ像

 

 

バルジェロ美術館は入り口こそ簡素で目立たないのですが、一旦、中に入り中庭に出ると周囲は石造りの高い壁で囲まれた城砦のような造りになっており、中世の時代そのままの世界にはしばらく足を止めて見入ってしまいます。

上の美術館へと続く階段も常に日陰になる場所なので暗く湿っており、陽気なイタリアといった雰囲気とは真逆の建物です。しかし、美術館の中に入ってしまえばそこはフィレンツェでも指折りの美術館で、展示されている作品一つ一つのレベルの高さは圧巻です。

このダヴィデ像もこの美術館自慢の収蔵品で、ルネッサンス全体で見ても際立った名作と呼べる作品です。華奢で細身の少年はドナッテロのダヴィデ像の流れを汲んでおり、この時代の流行や街の勢いといったものまで感じさせてくれます。

像の高さは125cmで等身大よりやや小さく、表面の仕上がりはドナッテロのダヴィデ像より丁寧に仕上げられています。衣服の細かな文様も背面までしっかり刻まれており、あらゆる点でドナッテロを凌駕しようとするヴェロッキオの気迫を感じます。

また、現在このダヴィデ像は背の高い台座の上に乗せられて鑑賞されるようになっていますが、当時からこの角度で鑑賞されることを前提としていたのかダヴィデ像の少年の顔は少しうつむき加減で制作されており、顔の大きさも体に比べてやや大きい感じもします。

このダヴィデ像がヴェロッキオにより制作されたのは1473年から1475年頃とされているので、当時のレオナルドは21歳から25歳の間となります。よくこの像のモデルがレオナルドであったと言われていますが、このダヴィデ像の少年を思わせるような顔立ちを20歳を過ぎたレオナルドに求めるには少々無理があるように思われます。

 

 

 

 

 

National Gallery of Art (この像の制作技法であるロストワックスについての言及があります)
http://www.nga.gov/