
とにかくこの手の話は後を絶ちません。
気持ちは分からなくもないのですが、もう少し絵の質がなんとかならないものだろうかと思わずにいられません。これ程酷いとさすがにまともに取り合う気にもなれないといったところでしょうか。
絵に関しては、全体的にも部分的にもレオナルド的な描写はどこにも見当たらないというのが私の感想です。
最も酷い点は絵の構図でしょう。レオナルドはとにかく体をひねった動きの強い構図が好きで、逆に平坦で特徴のない構図を嫌っています。このサルバトール・ムンディの構図はレオナルドが嫌う平坦な全く動きのない構図そのもので、これをレオナルド作とするにはあまりに無理があると感じます。そしてこの構図そのものがレオナルドの作品ではない以上、この作品はレオナルドの工房作ですらありません。
細部の描写に関しても実に雑な描写で、髪の毛の描き方にも相当な違和感があります。
レオナルドという画家を世に送り出したのはヴェロッキオ工房でのキリストの洗礼で描いた天使の見事な巻き毛の描写です。この時の成功が後のレオナルドを作ったと言っても過言ではなく、レオナルドの巻き毛の描き方には他者の追従を許さない絶対のものがあります。
このサルバトール・ムンディのあまりに酷い貧弱な巻き毛の描写。もう何も言う必要などないでしょう。
サルバトール・ムンディの歴史に関しての詳しい記述があります。
https://salvatormundirevisited.com/History-of-the-Salvator-Mundi
ジョナサン・ジョーンズ氏によるサルバトール・ムンディに関するレポート
https://www.theguardian.com/artanddesign/2021/sep/09/lost-leonardo-da-vinci-film-solved-mystery-worlds-most-expensive-painting-salvator-mundi
