Burlington House cartoon

バーリントンハウスのカルトン(聖アンナ、聖母子と聖ヨハネ), 1499-1500 or 1508?

Charcoal, with white chalk heightening, on brownish paper, mounted on canvas, 141.5 x 106.5cm London, National Gallery


イギリスでは多くの美術館や博物館が無料で利用できます。この絵が飾られているナショナル・ギャラリーも入場料は無料で、その辺の道路を歩いている感じで美術館の中まで入っていくことができます。途中でセキュリュティチェックもなくあまりにもあっけなくこの絵の前まで歩いて行けるので本当に大丈夫なのかと逆に心配になってきたりもします。

この絵が飾られている部屋は美術館のかなり奥の方にあって自然採光は全くなく、部屋の照明も幾分暗い感じがします。その薄暗い部屋の中でふと横を見ると、ごく当たり前のようにミケランジェロの未完の油彩画が展示されていたりするのでとにかく信じられないような大英帝国の懐深さには感服するしかありません。

この絵は巨大な一枚の紙(8枚の紙葉からなる)に描かれており、紙の厚みは結構あって質感的にはごわごわした厚手の丈夫そうな紙の印象があります。紙の繊維はやや不均等で太く粗い感じがし、紙全体はキャンバスに糊付けされているらしいのですが表面の起伏が完全に消えているわけではありません。

それにしてもこのカルトンを見る時にはやはり照明が暗すぎると感じます。絵の保護のために仕方ないことなのかもしれませんが、もう少し照明を工夫しないと細部の影の部分の描写が黒く沈んでしまい微妙な陰影が判読できない状態となっています。

また、この絵を画集などで見る場合には画集ごとに色味がかなり違い、黄色っぽいものから青みが強いものまで様々な解釈があり、正直どれが本物に近いのか戸惑うのですが実際に実物を見てみるとやや青っぽい印象があり、黄色い色味が強い印象はあまりありませんでした。

さらに、画集では非常に柔らかな印象のイメージがある作品なのですが実際には非常に荒々しい筆致で描かれている部分が多く、その激しさやスピード感はそれまでのレオナルド観を一変させるほど強いものがあります。
それでもさすがにマリアやアンナの頭部は丁寧な陰影が施されているのですが照明の関係なのか暗く青みがかった陰影が非常に強く感じ、スフマート的な印象があまり感じられない作品となっています。